梅毒は完治するのか?大切なことは早期の検査と治療

患者数増加の梅毒

梅毒というと、時代物の映画やドラマでよく見かけるかもしれませんが、恐ろしい昔の不治の病というイメージを持たれるのではないでしょうか。
しかし、一旦は下火になったものの、実は2010年以降急激に増加しており、厚生労働省も注意を呼び掛けています。無防備な性行為をしてしまった結果、性器にしこりなどの気になる症状がある場合、今は梅毒も疑うべき病気の一つと言えます。
ここでは梅毒という病気について、感染経路や症状、検査や治療方法を含め説明していきます。

梅毒とは

梅毒とは梅毒トレポネーマというバネのような形の病原菌があらゆる性行為によって感染しておこる性感染症です。
全てのセックスで感染しますが、主に粘膜の傷から菌が入るので、アナルセックスでの感染も多く見られます。また口の中に傷があればキスでも感染する可能性があります。
梅毒は時期によって症状の出方が違い、四期に分けられますが最近みられるのは次に挙げる第一期と第二期がほとんどです。

第一期

感染後約3週以降にペニスや肛門、口など、感染部位に豆粒大のしこりができ、中心部が固くなっていきます。またそれがつぶれて潰瘍になることもあります。太もものリンパ節が腫れることもありますが、どちらの症状も痛みはなく、2~3週間で自然に消えます。

第二期

感染後約3か月以降、血液中に入った病原菌が全身に広がり、梅毒性バラ疹と呼ばれる小さな丸いあざや、茶褐色の豆粒大の丘疹、斑状の脱毛などが手のひらや足の裏を含む全身にできます。こちらも数週間から数か月で自然に消えます。
他にも、発熱したり倦怠感が出ることもあります。

治療できるようになる以前は、感染後3年以上後に第三期に入り、更に大きなしこりが発生し、感染後10年以降、第四期の末期では心臓、血管、神経、目などに重い障害を起こし死に至る病でしたが、最近はそこまで悪化するケースはほとんど見られなくなりました。
しかし梅毒は症状の出かたが多様なうえ、ここ最近の増加以前はいったん沈下しており、医師にとってもまだ見慣れない病気であるため診断が難しいこともあり注意が必要です。

梅毒の検査方法

STS検査

まず一般的に最初に行われる検査がSTS検査です。梅毒に感染すると、2~4週間で脂質抗原と反応する抗体が体内でつくられます。その性質を利用し、牛からとった脂質を抗原として患者の血中の抗体と反応するかどうかを調べます。この検査は症状が進むと反応が強くなっていき、治癒とともに反応が弱くなっていくので、治療の評価のためにも行われます。
ただ、梅毒の病原菌そのものに対する検査ではないので、膠原病や妊娠など、梅毒でなくても陽性になることがあります。

TPHA検査

STS検査で陽性反応が出た場合、次に梅毒の病原体そのものを抗原として血中の抗体を調べるTPHA検査が行われます。こちらは感染後4~6週経過しないと反応が出ないため早期診断には向きませんが、STS検査に比べ確実と言えます。ただ治癒した後も反応は消えないため、治療効果や感染の時期などは判断できません。

この二つの検査結果の組み合わせで確定診断が行われるほか、時には患部から浸出液を採取して直接病原菌を確認することもあります。
血液検査が陰性であっても、感染から日が浅く反応が出ていないだけということもあるので、疑わしい症状があったり感染のリスクが考えられる場合は時期を見て再検査をします。

梅毒の治療方法

ネット上では梅毒は完治しないという情報が多く見られます。しかしそれはTPHA検査での抗体反応が完治した後もずっと消えないことによる誤解と考えられます。TPHA検査が陽性であっても、病原体である体内の梅毒トレポネーマが死滅すれば、梅毒は完治したことになります。ただ、初期の梅毒を治療せずに放置し重症化すれば何らかの後遺症が残るため、それらの完治は難しいということです。

今と昔でどのように治療が変わったのか

昔は梅毒というと不治の病でしたが、今では治療薬であるペニシリン系の抗生物質で完治させることができます。ペニシリン治療の他にも、ペニシリンアレルギーのある場合は他の抗生物質を使用します。一期~二期の早期梅毒であれば、約2~4週間の服薬、三期~四期の晩期梅毒であれば約4~8週間の服薬が必要です。
治療が始まると頭痛や発熱、筋肉痛などの症状が現れることがありますが、これは副作用ではなく病原菌が死んでいくことによっておこる現象です。
服薬中止の時期は医師が検査結果を見ながら判断しますので、必ず医師の指示に従い最後まで治療を受け、しっかり完治させましょう。

根治させるまでに気をつけること

感染したら性行為は?

梅毒に感染すると、特に第一期と第二期で特に感染力が強く、約3回に1回の性行為で相手に感染させる危険があります。またオーラルセックスやキスでも感染することがあります。医師の許可があるまでは性行為は控えましょう。

パートナーは?

自分が梅毒と診断された場合、無症状であってもパートナーにも感染している可能性があります。梅毒は一度完治しても免疫はできないので、再感染することがあります。パートナーとのピンポン感染を防ぐためにも必ず一緒に検査や治療を受けましょう。

重複感染にも注意を

梅毒に感染するとHIVにも感染しやすく、同時感染しているケースも多く見られます。HIV感染症も早期発見でかなり症状をコントロールできるようになってきています。一緒に検査を受けておきましょう。

まとめ

梅毒は今や「昔の病気」ではありません。男性間のアナルセックスや若年層の気軽なオーラルセックスの広がりなどにより、最近急激に増加してきています。不特定多数との無防備な性交渉や風俗店の利用なども、梅毒に限らず性感染症の感染リスクが高くなる行為と言えるでしょう。
しかし、梅毒は今や「不治の病」でもありません。治療が遅れれば後遺症が残ったり治療期間が長期間になり、治療費もそれなりに要することもありますが、医師の指示に従い根気よく治療法を受ければ完治する病気です。
まずは、自分が感染しないよう安全な性生活を心がけ、もし気になる症状がある人は性病検査キットなどで調べるだけでなく、なるべく早い段階で泌尿器科や性病科の病院を受診し専門家である医師の指導の元、きちんと治療を受けるようにしてください。

まずは専門医に相談を

新宿駅前クリニックでは、皮膚科・内科・耳鼻科・泌尿器科を併設しており、平日夜19時まで診療を行っている専門の医療機関です。

メディア・記事の監修ドクター:新宿駅前クリニック院長 蓮池林太郎