ヘルペスは目にも感染する!脳炎や角膜炎・喉に症状が出る場合とは

家でヘルペスに悩む男性

ヘルペスは、口や唇、性器やその周辺にだけ起こると考えていませんか。

ヘルペスウイルスは感染力が強く、人間のさまざまな部位に感染し炎症症状を引き起こします。皆さんのイメージと異なり、目や脳に影響を及ぼすこともあるウイルス。

ここでは、目に感染するヘルペス角膜炎や、恐ろしいヘルペス脳炎を中心に、普段とは違う部位に発症するヘルペスに着目して解説していきます。

目にヘルペスが感染すると?『角膜炎』に!

結膜炎について

目にヘルペスウイルスが感染すると、『ヘルペス性角膜炎』を引き起こします。
では一体、その角膜炎はどのような特徴があるのでしょうか。

角膜ヘルペスの種類と特徴

目に感染するヘルペスウイルスは従来、単純ヘルペスウイルス1型とされてきました。

しかし近年、性行為(オーラルセックスやアナルセックスなど)の多様化により、人間の下半身に感染する単純ヘルペスウイルス2型が上半身にある目(眼球)にも感染することが増えてきています。

ヘルペスウイルスが感染すると、神経細胞の集まりである神経節に潜むことは、他の記事でもご紹介してきました。
性器ヘルペスが完治しない理由は?免疫力を高めて上手に付き合うために
http://danseiki.jp/herupesu-kannchi/

目に症状を及ぼすヘルペスウイルスは、ヒトの顔の神経である顔面神経でも、目の後ろ側に位置する「三叉神経(さんさしんけい)」に潜んでいます。
通常は症状を起こさないウイルスが何かのきっかけ、免疫力の低下、風邪をひいている、ストレスにさらされているなどの要因によって活性化し、目(角膜)に症状を起こします。

上皮型

角膜の一番外側にある上皮にウイルスが増殖しているときに起こる角膜ヘルペスを上皮型といいます。

上皮に炎症症状を起こし、目が赤くなる・軽度の痛みやかゆみがあるなど、結膜炎と勘違いする方も多いので注意が必要。結膜炎様の初期症状のあとに、光に過敏になる、涙が出る、目のゴロゴロとした違和感などの症状を発症します。

上皮型角膜ヘルペスの特徴的な症状は、「樹枝状角膜炎」という樹枝状の潰瘍が見られることです。
ヘルペス性角膜炎は両方の目に発症することは稀で、たいてい片目のみに発症します。

実質型

ヘルペスウイルスが上皮よりも内側の実質で増殖することで、実質型のヘルペス性角膜炎が起こります。

症状は角膜が白く濁って見える・視力の著しい低下が見られるなど、上皮型よりも悪化した状態になり、潰瘍形成が起こるので、治癒までに時間がかかることも。
また、視力の低下が数ヶ月続く、角膜の一部に瘢痕という傷が残り視力の回復が見込めなくなるなど、場合によっては後遺症が残る可能性があります。

角膜ヘルペスの治療方法

角膜ヘルペスは早期発見によって、治療期間が短くなることはもちろん、視野や視力に大きな影響を及ぼすことなく治療ができます。

抗ウイルス薬の内服

その他の部位と同様に、角膜ヘルペスは抗ウイルス薬の内服による薬物療法が行われます。

この薬物療法の狙いは抗ウイルス薬により、
ヘルペスウイルスの増殖を防ぎ、不活性化すること。
医師の支持に従い、用量・用法を守り決められた期間、飲みきることが大切です。

抗ウイルス薬の点眼

目(眼球)に症状やウイルスがあることから、
抗ウイルス薬の点眼が角膜ヘルペスの治療には不可欠になります。

こちらも医師の支持に従い、用法や用量を守り一定期間の点眼を行うようにしてください。

その他

実質型の角膜ヘルペスに進行している場合や潰瘍形成などの症状が重い場合には、ステロイド剤を使用するなどのウイルスによる炎症症状を沈静化目的に行う治療方法があります。
受診した眼科医の指示を守り、医師の判断にもとづく治療法を選択してもらってください。

目の周囲の清潔の保持や、目に触れた手で他の部位に触らないなど、感染拡大を防ぐことも大切です。
角膜ヘルペスを放置してしまった、または悪化させてしまった場合には、最終的に角膜を削る・角膜移植をしなければならない事態に陥ることもあります。
そういった事態を避けるため、早めに医療機関での受診をおすすめします。

怖い『ヘルペス脳炎』!こんな症状に注意!

ヘルペスで起こる脳炎について

ヘルペス脳炎とは?

急性脳炎といわれる脳に炎症を引起こす病気の中で最も多いといわれている疾患であるヘルペス脳炎。
このヘルペス脳炎を引き起こす場合の感染経路としては、血流にのって感染したり、三叉神経から感染したりする場合が考えられます。

上半身に感染する単純ヘルペスウイルス1型の初感染や再発時に上気道感染、いわゆる風邪に似た症状を起こし、その後嗅神経(臭いを感知する神経)を介して発症する可能性があるといわれています。

ヘルペス脳炎の症状

ヘルペス脳炎の主な症状は、発症する年齢によって異なります。

新生児の場合

新生児の場合、ヘルペスの発疹とともに発熱・哺乳力の低下・活気がないなど、赤ちゃんとして元気がなくなるという印象になります。

その後、悪化するとともに痙攣(けいれん)を起こすなどの中枢神経症状を起こします。

発疹がでていれば、診断は比較的しやすくなりますが、
新生児の場合には発疹が出ないことも多く、早期での発見が遅れる場合には予後を左右することにもなりかねません。

幼児・成人

脊髄炎や髄膜炎などヘルペスウイルスが神経から脊髄に入り、さまざまな症状を引き起こします。

発熱・頭痛・嘔吐など、脊髄を刺激されることにより起こる症状から、やがて意識障害や痙攣などの中枢神経症状を起こします。
脳が炎症を起こしているため、言語や記憶・果ては理性までも侵されることとなり、意味がわからない不明言動や麻痺などの脳梗塞のような症状を起こすこともあります。

後遺症

後遺症は一定期間が過ぎても、一度引き起こされた症状が固定化されてしまうこと。

ヘルペス脳炎の場合には、健忘・性格の変化・けいれん発作が続いて、てんかん発作を繰り返すこともあります。

ヘルペス脳炎の治療方法

ヘルペス脳炎を起こしている場合には、意識障害・呼吸障害などを起こしていることがあるので、生命に危険がある場合には生命維持の処置が重要になります。呼吸管理・栄養管理などの24時間体制でモニタリングをすることも。

けいれん発作には抗けいれん剤を使用する・脳圧を下げる薬剤を使用するなど、あらわれる症状に合わせた対症療法が行われます。
ヘルペスウイルスについては、
抗ウイルス薬の点滴静脈注射治療を行い、ウイルス自体の数を減らし不活性化していくことが目標になります。

予後について

ヘルペス脳炎の予後は、現代でもおよそ1割が不良となっており、後遺症が残る可能性もある重篤な疾患です。
特に新生児は非特異的な症状を示すことも多く、早期診断が困難な場合もあります。

唇・性器以外のヘルペス症状とは

口唇ヘルペス以外のヘルペスについて

ヘルペスは代表的な唇・性器だけでなくさまざまな部位に感染し、発症します。

舌・歯茎のヘルペス

舌・歯茎にヘルペスが感染すると、口腔内にウイルスが感染しているので、口内炎症状がでます。
咽頭に感染している場合には、発熱(高熱)・咽頭痛といった咽頭炎の症状を起こします。

口腔内・咽頭にしみる・かゆみ・痛みなどの違和感とともに、水ぶくれ・腫れなどの症状が起こり、水ぶくれが破れると潰瘍化することも。潰瘍化すると激しい痛みを伴い、口腔という環境的な要因から、治るまでに時間がかかることもあります。

口内炎や咽頭炎は食欲の減退や水分摂取が難しくなることもあるので、栄養管理や水分摂取を促すことも大切なポイントになることも。ヘルペスの治療とともに、全身状態を見ていく必要もあります。

顎・頬・鼻など顔のヘルペス

顎や頬にヘルペスが発症した場合、ニキビと勘違いしてしまうことも多くあります。

ニキビは毛穴に角栓がたまり皮脂にアクネ菌が繁殖して炎症を起こしている状態。一般的に赤くなったりして硬い発疹のことを指します。
一方、ヘルペスによる発疹は水ぶくれになり、さらに痛みがあります。

また、皮膚に発症するヘルペスは紫外線が強い時期に出きやすいという特徴もあります。

ニキビとよく鑑別して、抗ウイルス薬などの対処が必要です。

背中・腕・足・腰などのヘルペス

体幹に発症するヘルペスは、帯状疱疹ウイルスの可能性が高くなります。

発疹があらわれるよりも早く、皮膚に痛みや違和感が起こり、背中・腰・脚など各部位に限局して発疹が帯状にあらわれます。この発疹が水ぶくれとなり、かさぶた状になって、治癒に向かっていきます。

まとめ

唇・性器以外にもさまざまな部位に起こるヘルペスは、感染し発症する部位によって生命の危険性があるなど、注意しなければならないことも多くあります。

ヘルペスは感染力も感染率も高い身近なウイルスですが、「また、ヘルペスか」などと油断しないようにしてください。角膜炎や急性脳炎を起こすなど恐ろしいウイルスであることも知っておくと良いでしょう。

日頃から規則正しい生活を送り、免疫力を低下させることなく、ヘルペスにかかりにくい・再発させづらい体づくりをしてくださいね。

まずは専門医に相談を

新宿駅前クリニックでは、皮膚科・内科・耳鼻科・泌尿器科を併設しており、平日夜19時まで診療を行っている専門の医療機関です。

メディア・記事の監修ドクター:新宿駅前クリニック院長 蓮池林太郎